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伊豆に移住した都民meets古民家   その壱「製材所、その先に」

2022.8.12 / michi /

東京から伊豆に移住しましたミチです。

 

実は元々古民家暮らしに興味があったタイプ…

ではありません。

はい、スミマセン。

のっけから。

 

どちらかというと、

倉庫や工場をリノベーションして住まいとするような、

そちら方面に憧れておりました。

循環ワークス的空間、憧れでした]

 

 

お試し移住を利用して南伊豆町に滞在するようになってから、

出会っていくご縁の中で、

相手の方の自宅にお邪魔する機会が増えました。

 

東京で相手の自宅にお邪魔するのは、

まあまあの仲になってから。

なんとなく、そんな気でいましたから。

 

前回の記事でも書かせていただきましたが、

お試し移住してからもなお、

面白そうな方が居らっしゃると聞けば、

フッ軽with不躾オジサンはお会いできる場へと、

なかば右往左往しておりました。

 

そんな折、

興味深い素敵な方々が一様に、

二言目には、

「えー、そうなんだー」

「じゃ今度ウチ来る?」

 

「良いんすか⁉」

「是非伺いたいです‼」

 

シティーボウイ風味が抜けていなかった、

当時は驚きましたが、

今なら分かります。

 

そう、伊豆半島先端地区には、

スタバも、ドトールもありません。

 

お店で待ち合わせて、ちょっと喋って、

じゃ、また!みたいな風習が成立するのなら、

そこはもはや都会と呼んでいいのかもしれない。

そう思える今日この頃なのです。

 

 

僕に興味あるからお会いしたい、

とのオファーをいただいたら、

 

「なるほど、じゃ今度ウチ来る?」

 

今では、言ってます。

タシカニ。

 

[移住先輩Aさん宅前の素敵眺望]

 

そんなこんなで…

色々な方のご自宅を拝見させていただくうち、

なんとなくぼんやりと、

ここらで暮らすならこんな感じのがいいなあ…

 

見えてきたのです。

自分達にとってのキーワードが、

定まってきたというべきかもしれません。

 

金銭条件

日当たり

近隣

焚き火

ドンツキ

果樹

栽培可

飼育可

湧き水…

 

一つ一つのワード解説は今回含めませんが、

今後の記事に絡めていけたらと思います。はい。

 

 

自分達にとってのツボさえ押さえられていたら、

他に一般においては悪条件とされる部分があっても、

そこは目をつぶれるかもしれないと、

諸先輩に学ばせていただいたのでした。

 

同時に、

ドンピシャ物件に出会うのは至難の業で、

多かれ少なかれ、

仮の住まいと割り切って過ごす期間も、

必要であると学びました。

 

 

あの人は10年家を探してる、

なんて都市伝説みたいな話も聞き、

マジかと焦りを覚え、

その日からは会う人会う人に、

 

「何か良い家知らないっすか」

 

不躾モード全開で探り始めたのです。

 

シティ脳では、

家探しは不動産サイトと、

決まったようなものでしたがしかし、

移住諸先輩はこれまた一様に、

 

「良い物件は不動産に出ないからね」

 

そう仰るのです。

関係者の皆様のお怒りを買わないために、

付け加えますと、

「移住者好みの」が「あまり」、です。

 

 

現在住まわせていただいている物件の所有者しかり、

ローカルの方々はこの土地やそのポテンシャルについて、

過小評価というか、自信を持っておられず、

 

「こんな古い家、出してもさー」

「畑もやってくれる人はいないでしょ」

「近くに家もないしさ」

「山まで付いてるし大変だから」

 

こういった、移住者からすると

 

「チョット待て、そういうのを求めてんだぞ」

 

と進言させていただきたい事すらブレーキとなり、

日の目を見ることなく朽ちていく物件のなんと多いことか…

 

その証拠に、日々移動する度に、

数え切れぬほどの空き家を目にしますが、

ネット上でそれらの物件を目にする機会は少ないのです。

 

移住系の家探シストが好みの物件に最短で出会うには。

 

その自分なりの答えが前述の不躾モードに行き着くのでした。

 

というのも、

「知ってる人(知ってる人の知ってる人も可)になら貸す(売る)んだけどね」

 

こういった気持ちをオーナー各位がお持ちである、

そんなタレコミも入っていたからです。

 

 

町には区という集落単位の区分があり、

僕のお試し移住中の住宅のあった場所の区長は、

なんとか我が区内に定着してもらおうと、

十数件の物件オーナー達に話を付け、

松岡修造さん並みの熱さをもって、

案内して回ってくれたりしました。

 

しかしその頃には、

おぼろげながらも“自分達のキーワード”が見えてきており、

それに照らすと我々にとっては、

「うーん…」となってしまう物件たちでした。

 

[熱血区長の貢献もあって定着した移住先輩Nさんの息子と、             広大な敷地で遊ぶ]

 

まさか、これはあながち、

10年家探しも都市伝説ではないのかもしれない…

 

諸先輩同様、

仮の住まいと割り切って、

しばらく暮らしてみようか、

それならアクセスの良いところで…

 

ん!?そういえば。

 

ロッジモンドの目の前に、

広いルーフテラスを備えた、

コンクリート造の民家があるのです。

 

 

人の住んでいる気配はなく、

懸念点といえば、

 

もし住んでテラスでBBQでもしようものなら、

すぐ代表松本氏から、

「ミチくん、焼くならもっと良い肉にしたら」

「へっ!?肉の種類まで見えますか?」

と、こうなってしまうのではないか。

 

そんな、職場と近過ぎ問題でしょうか。

 

モンドの女将さんには、

お試し移住の期限が迫っているとお伝えしていたゆえ、

「じゃぁ私聞いてみるよー」

テラス物件のすぐ隣に住む大家さんに掛け合ってくれました。

 

これも田舎あるあるかと思うのですが、

大家さんのお答えは、

「息子が帰ってくるかもだから貸せない」でした。

 

後々まつわる背景を聞けば、

息子さんの実家帰還の可能性は恐らく低く、

 

その大家さんですら関係性を築いた今となっては、

「あんた達に住んでもらっても良かったかもねー」

と言われたりしてます。

 

一応、貸さず売らず取っておく。

念のため。

 

このあたりのマインドに切り込むことができれば、

空き家問題や10年家探し伝説の撲滅に繋がるかもしれません。

 

南伊豆町の区長に紹介された物件の中にもありましたし、

ルーフテラス人生を歩むことになっていれば発生したのが、

大家さんと同じ敷地ないしは近隣問題です。

 

これは都会からの移住者、共通の懸念点と言えるでしょう。

周辺の方々との人間関係。

 

東京とは違い、近所付き合いは不可避。

ならば素直に向き合い、

こちらと大家さんご近所さんの相性も、

物件選びの基準にあらかじめ加えるべきなのです。

 

移住者の受け入れについて、

集落単位で温度差があることも学びました。

 

同じ下田の白い砂浜でも、

白浜地区と入田浜などの吉佐美地区では、

ローカルの雰囲気は違うよとローカルが仰ってましたし。

 

いよいよこれは、

都市伝説への道を歩みだす他ないのか…

[伊豆半島西海岸は考え事に最適です]

 

数日後、

ルーフテラス物件の大家さん、

現在の僕の住まいのオーナーですが、

Tさんとしましょう、が話しかけてくれたのです。

 

「あんたかい、家探してるっていうのは」

「はい」

「あれから考えてて、思い出したんだけど」

「ほい」

「1件あるわ」

「本当ですか?ありがたいです」

「ただね…」

 

短くない沈黙の後、Tさんは、

 

「ホントのボロだから、見るだけ見てみる?」

 

すこぶる自信の無さを押し出す感で、

 

「でも、ホントにボロだからダメかもよー」

 

ダメ元で見る?そこから何度も念を押されました。

 

それまでの家探しの道のりの中で、

室内から空が見えてしまう、

文字通りの青天井ハウスも見かけていた僕は、

 

「大丈夫です、お願いします。」

 

後日都合を合わせ、

Tさんの車を僕が運転する同乗スタイルで現地へ。

 

「はー、何年振りかね、見にいくのは」

「っ⁉」

「もう十数年、人が住んでないからねぇ」

「そ、そうなんですね…」

 

ドギマギしてしまう内容の、

いびつなキャッチボールを交わしながら、

 

車はロッジモンドのある海近くの開けた地区から、

S川という山奥の集落へ進むのでした。

 

前回の記事にも書かせていただいた、

製材所でのお手伝い、

その製材所のある集落こそがS川で、

何かしらのご縁は感じながらも、

不安は隠すことができませんでした。

 

鮎も釣れる清流仁科川は、

山へと上っていくほど、

巨石の転がる渓流の様相に。

 

渓流脇に数十件の家々が立ち並び、

車1台分の幅の道がそれらの家々を縫う、

モナコサーキット的な雰囲気を感じたら、

そこが目指す集落、S川。

 

集落を抜けるあたりの渓流と山との隙間に、

へばりつくように存在する製材所。

 

そこまでは来たことがあったものの、

ナビゲーターTさんは、

「まだ、奥ね」

 

さらに車を未知の道へ進めること数分、

「ここよー、停めて」

 

人生で1,2を争うほど眺めの美しい渓流と、

山を背負った民家の青い屋根。

それに挟まれ落ち葉に覆われた、細い路面。

対向車や後続車が来てしまっては障害になると思い、

停め方に戸惑っていると、

 

「この奥には誰も住んでないから大丈夫、

来るとしても営林署の人くらいだから」

「は、はぁ」

 

訝しがりながらも精一杯寄せて停め、

腰を屈めながら歩く老婆の意外な速さに驚きながら、

小走りで後を追ったのでした。

 

(つづく)

 

[古民家前のTさん]

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