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西伊豆古道再生プロジェクト物語〜一周目〜

2022.7.21 / ヘイマン /

毎度!ヘイマンです。

前回の記事をご覧いただきありがとうございます。

今回は実際に古道再生に出かけていきたいと思います。

さてさて、古道って一体どこにあるのでしょうか?まずは入り口を探してみましょう。

一つ目の手がかりとして、他の地域でもそうですが、西伊豆では古道の出入り口に『馬頭観音』が祀られていることが多いです。

馬頭観音とは元々は煩悩や無智、諸悪を退ける菩薩様ですが、梵名の『ハヤグリーヴァ』が馬の首という意味だったことから、当時荷運びに使われていた馬が亡くなった際の供養のために建てられた石碑です。

観音様なわけですからおいそれと動かしていいものではなく、当時と同じ位置に祀られていることが多いわけです。

もう一つの手がかり、こちらがメインになりますが町の大先輩方(おじいとおばあ)からのお話です。

「ここからあそこまで抜ける道がある」

「あの道は知ってるか?」

「あそこはもう直したのか?」

「お前はどこのモンだ?」

「あー平馬か、お前が小さい時クワガタ取りに連れてってやったの覚えてるか?」

などなど色んなお話をしてくれます。ちなみにクワガタ取りに連れて行ったのはのは別の子でした。

 

そうして情報を集めていくと膨大な量の古道の存在を知ることができます。

その中から搬送路の有無や緊急時の対応、ツアーとしてのボリュームの確保等の条件に合うモノを選定していきます。

3歩進んで2歩下がる熱い議論を経て、ルートが決まったらあとは現地にGO!とにかく歩き回って古道を探します。

再生とはいえ、実際の作業は探検と発掘に近いものがあります。

ハーフパイプ状のソリ道の中には枝や岩が敷き詰められ、行く手を直径50cm以上の倒木に阻まれ、片側が斜面のトラバースは崩れかけて幅が10cm程になってたりと、これからの波乱万丈の復旧作業を想像して少しだけ絶望しながら歩を進めます。

荒れ果ててはいますが、まだ道だとわかる程度の時はサクサク進むのですが、やはり途中で見失うこともしばしば。

そんな時には行ったり来たりを繰り返してルートを決めていきます。

ルートの全貌が見えてきたら作業を始める箇所の順番を決めます。これがとても重要で、必要な道具の選定、作業量の把握、隊員の確保を経て実際の作業が始まります。

まずはチェーンソーなどの重たい機材での作業。こちらは危険を伴うので少数精鋭で。

機械作業で一周、これで第一段階完了です。危険な箇所やツアー中の危険をイメージしながら次の改修の予定を組んでいきます。

途中で出土する石碑や時々見つかる古銭にワクワクしながら、前途多難の古道再生は続くのでした。

 

〈主な使用機材〉

チェーンソー(倒木、立木の伐採) チルホール/ロープ(懸木、危険木の処理) GPS地図(ルート選定、測量、マーキング)

2人で1日作業して進むのは平均500mほど。

 

行く先はまだ長く、険しきかな。

 

Yamabushi Trail Tour | 西伊豆再生古道プロジェクト

伊豆には、この数十年の車社会化や化石燃料に依存する生活への変化で使われなくなってしまった1200年以上の歴史ある古道があります。わたしたちはこれらを関係する全ての地区や管理者の許可を得て、自らの手で再生しています。 …

この記事を書いた人

ヘイマン keitaro heima

マウンテンバイクガイド/イラストレーター
松崎町生まれの純血伊豆ローカル。インドア派で頑なに心と身体を閉ざしていたころとは打って変わり、現在は山を切り開いてトレイルを作り、マウンテンバイクのガイドとして西伊豆の山中を駆け回る日々を過ごしているシャチク。一方で『彫刻家のじっちゃん』の名にかけて、イラスト・グラフィック等の小手先に本領を発揮中。几帳面な性格を活かし、代表の松本に足りない部分を補っていると《自負》している。

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